信楽高原鐵道の第一大戸川橋梁が国の重要文化財に
甲賀市信楽町勅旨(ちょくし)の大戸川(だいどがわ)に架かる信楽高原鐵道(しがらきこうげんてつどう)の第一大戸川橋梁(だいいちだいどがわきょうりょう)について、
令和3(2021)年5月21日開催の国の文化審議会の答申を受けて、国の重要文化財に指定されました。
第一大戸川橋梁について
第一大戸川橋梁は、信楽町勅旨の大戸川に架かる橋梁です。昭和8(1933)年に開通した国鉄信楽線の施設として使用されていた旧橋が、昭和28(1953)年8月の豪雨により流失したため新しく建設されたもので、翌29(1954)年8月26日に竣工しています。
橋長31メートル、支間30メートルの単線仕様のプレストレストコンクリート造単桁(たんけた)橋で、増水に備えて橋脚を設けず、橋台の左右には鉄筋コンクリート造の翼壁(よくへき)を設けています。
プレストレストコンクリート造りの鉄道橋梁は、建設当時、世界的にも類例が少なく画期的な工法で、あらかじめ緊張材によって圧力を与えられたコンクリートにより、高強度でひび割れを防ぐことができました。建設時に行われた数々の検討は、その後のコンクリート研究の発展に大きな影響を与えたとされます。橋梁の近くには、建設後の経年劣化の検証を可能とする試供体(しきょうたい)が設置されています。
第一大戸川橋梁は、当時の鉄道分野の技術の粋を集めて完成した、優れたコンクリート構造物として価値があるとともに、今も建設当時の状態を良好に維持しながら、現役の鉄道施設として地域の交通を支え続けています。